EKORROT
生き生きとして柔らか。想像力豊かな土の動物たち

窓猫雑貨店で取り扱うヒツジのプレートやインセンスホルダーをはじめとした、動物モチーフの陶芸作品を手がけるEKORROT 青木映理子さん。青木さんの作品は、緻密な観察眼に基づき動物の豊かな表情を伝えながら、どこか想像の世界を思わせる柔らかな質感もまとっています。作品との向き合い方やこだわりについて伺いました。

 

 

陶芸との出会いとサーカスの記憶

 

学生時代、さまざまな素材で作品づくりをする中で、土に触れたことが陶芸との出会いだったと語る青木さん。木や石、金属は削る工程が多い一方、土は焼かなければ一からやり直すこともでき、取ったり付け足したりと自由に扱えることに魅力を感じたといいます。

卒業制作では土を使って大きな作品を作りたいと考えましたが、大学には陶芸専門の教授がいなかったため挑戦することができませんでした。卒業後の進路を考えた時に、陶芸の知識を増やして大きな作品に挑戦したいと思い、大学の掲示板に貼り出されていた「とこなめ陶の森 陶芸研究所 研修生募集」の案内を見て受験し入所。本格的に陶芸の道へ進みました。

 

 

「EKORROT(えころ)」という屋号は、幼少期、祖父母に連れて行ってもらったサーカスの思い出が影響しているといいます。

「ピエロたちがさまざまな芸を披露し来場者を笑顔にする姿が、記憶に色濃く残っています。自分が生み出す作品を通して多くの人がほっこりしたり、笑顔になってくれたら」

学生の頃からピエロやサーカスを題材にした作品も制作しており、ピエロ(=PIERROT)と自分の名前(=ERIKO)を合わせて「EKORROT」という作家名として活動することに。現在は屋号を EKORROT、作家名を本名として2つの名前を併用することで、EKORROTという名前に込めた思いを大切にしながら活動されています。

 

動物を緻密に観察し、イメージを膨らませる


動物をモチーフにした陶芸作品を制作する青木さん。動物のどのような点に魅力を感じているのでしょうか。

「日々の生活の中で動物と共存することは簡単ではなく、ここ数年は心痛むニュースも増え、動物を怖いと感じてしまうことも珍しくないかもしれません。それでも動物園や水族館、牧場などが日々賑わっているのは、癒しを求めて動物に会いに行く人が多いからではないかと思います」

生活の中では見られないはずの動物を、柵やガラスを挟んで間近で見たり、ふれあいコーナーで実際に触れたりできる。

「ふわふわに見えたけど触ってみたら意外とゴワゴワだったな」「草を食べる姿や口元がなんとも愛らしいなあ」———。 身近に触れ合うことで、動物たちが可愛い仕草やかっこいい一面など、さまざまな表情を見せてくれる点が魅力的だといいます。

 

 

作品を作る際は、可能であれば動物園などへ足を運び、実物を観察するという青木さん。研究所に通っていた頃は東山動植物園の年間パスを購入し、ライオンを作りたいときはライオンだけを見に頻繁に通うこともあったというほど。

また、実際に見ることが難しい動物の場合は、インターネットで画像検索をしたり、図書館で図鑑や写真集を何冊も借りて見たり、書籍を購入したりと、緻密な観察に基づいて作品への着想を膨らませます。

「動物だけでなく、たとえばヒツジと『雲』を掛け合わせた作品を作るときなどは、イメージを膨らませるために箇条書きでどんな感じにしたいか書いてみたり、頭の中のイメージをイラストにしたりすることもあります」

 

心にそっと寄り添うものづくりを

 

今回、窓猫雑貨店で扱う作品は、ヒツジをモチーフにしたプレートとお香立てです。

 

 

羊の毛が刈り取られる直前の、究極にモコモコした感じを表現したいと考えたという青木さん。形だけでなく表面の質感にもこだわり、スポンジを使って、ツヤを出さずマットで優しい雰囲気に仕上がるよう工夫しています。

「つるつる・ツヤツヤな動物は少ないと思うので、毛や肌の感触をイメージさせやすい仕上がりを心がけています。アクセサリー置きにしたり、焼き菓子や和菓子を楽しむためのプレートにしたり。もちろん、ただ飾って眺めていただくのもおすすめです」

 

 

制作において最も大切にしているのは、作っている自分自身が楽しく、癒されるものであるかどうか。「自分がいいと思えないものは、アピールすることも難しい」と考え、日々作品と向き合っています。

一方で、思い通りの形に辿り着くまでに時間がかかったり、色を乗せてみても思い通りの仕上がりにならないこともあったりと、試行錯誤はつきものです。

そんな中でも、作品を購入した方から「この子のこんなところが好きなんだよね」「この子がお家にいるから毎日癒されています」といった声を聞けることが嬉しいと、青木さんは語ります。動物の魅力を共有できたことが実感できるからです。

「今後も細く長く、自分自身にも関わる方にも何かを強いることなく、作りたいものを作り続けていきたいですね。あわせて、大きな作品も思いのままに作れるようになりたいです。手にとった方が心地よく作品と向き合い、楽しんでくだされば嬉しいです」

 

 


 
青木 映理子

Eriko Aoki


長野生まれ
2016年 文化学園大学 造形学部 生活造形学科 アートワークコース卒業
2018年 とこなめ陶の森陶芸研究所 修了
2021年〜 長野に拠点を移す

"心にそっと寄り添うモノづくり"を心がけ、動物モチーフの作品を生み出している。

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